「男は仕事、女は家庭」は今どうなっているか

内閣府男女共同参画局が行ったアンケート調査の一つに「男は仕事、女は家庭」をどう思うかという意識調査があります。
平成23年版の男女共同参画白書によると、昭和54年時点での質問では、全体の7割以上が「そう思う」と回答していたのに対し、平成21年では全体の約4割にまで低下しています。

ただしこの内容には男女差があり、男性が全体の約45%の賛成であるのに対し女性は全体の約37%が賛成というふうに約1割程度の差がついていることがわかります。

その裏付けとなる調査結果として「結婚相手に求める条件」として「家事能力」を挙げた人の割合が未婚男性の約46%であるのに対し女性は27.5%と大きな差がついています。

ここ数十年の間にかなりの意識変革があったということは確かですが、それでも依然として男女の家庭内での役割についての意識は根強く残されているということがうかがえます。

日本の女性の労働観もこれに基づくものであり「結婚をしたら家に入って専業主婦になる」ということが女としての幸せとする人生のモデルも一般化しており、働く女性は専業主婦女性よりも劣っているという価値観が拭い難く存在しています。

こうした価値観は結婚後の女性にとって「仕事か、家庭か」という二択を迫る結果を作り出しており、仕事をしたい女性にも家庭を守りたい女性にもどちらにとってもよくない影響を与えています。

結婚後のキャリアを考えづらくしている理由

とはいえ日本は世界的に見て教育水準が高く、女性の大学進学率は先進諸国と比較して決して低いレベルではありません。
にもかかわらず本格的に就業をするのは結婚をして出産をするまでという期間限定のものとなっており、育休や産休を明けたあとにそれまでとは全く違った仕事をするようになる人は珍しくありません。

高度な教育を受け、かつ本格的な就業をしてきたにもかかわらずその後仕事の第一線から離れてしまう女性が多い理由として一つ考えられるのが育休や産休から復帰後の企業の受け入れ体制が整っていないということです。

現在労働法規上女性の育休や産休の取得は企業に義務として課せられていますが、実際の業務においては一時的に休業をする人員がいることで業務に大きな支障をきたしてしまう現場が多くあり、また周囲のスタッフが休業をする人をよく思わないという雰囲気ができています。

そのため制度としては育休や産休を取得することはできても、周囲に対して申し訳ないという気持から自主的に退職を選ぶ人もいます。

日本的な女性の労働観の一部を構成しているのがこの「周囲に申し訳ない」という気持と、「女は家庭で子供を育てることが役割」という固定化した概念を出産や育児をする本人だけでなく未婚者や既婚者が幅広く持っているということです。

この気持は就職や結婚をする前の女性にも大きな影響を与えているため、そもそもとして将来の長期的なキャリアを考えることを早い段階から放棄してしまい、責任のあるキャリアアップのチャンスを希望しないという状況も作り出しています。

こうした悪循環を断ち切るためには、まずは社会全体が出産や育児に対しての考え方を変えていくということが大切になります。

「結婚して仕事を続けるのは損の方が多い」

もう一つここ最近の日本の女性の労働観としてあるのが「仕事も家庭も持つのは損が多い」という意識です。
ここ近年あちこちで聞かれる言葉に「コストパフォーマンス」がありますが、人生全体をコスト(損得)で考えた時、仕事をしながら家庭を持つのは損しかないというふうに判断をして家庭に入るもしくは結婚そのものをしないという選択をする人が増えているということです。

なぜ「損をしている」と思うかというとそれは、本来ならば共同作業をするはずの家庭や、周囲との協力の中でしていくはずの子育てが、結果的に自分一人に責任を押し付けられてしまうことになることがわかるからです。

つまり結婚せずに仕事をしていれば子育ての責任を押し付けられることはありませんし、結婚して子供を育てることに専念していれば時短業務をしたりする責任を感じることはありません。

日本の女性の労働環境を根本的に改善するためには、まずは世間全体の労働観や子育て観が変化していかないと難しいと言えます。